多摩川河口干潟の生き物たち

「蟹の惑星」の住人たち

ヤマトオサガニ

多摩川河口干潟に生息する代表的なカニ。甲羅の幅は4cmほどで、泥の中に暮らし、そこに含まれる珪藻などの有機物をハサミですくって食べている。眼が長く、潜望鏡のように水面から出して辺りを伺っている姿はどことなくユーモラス。

コメツキガニ

水はけのよい砂地の住む甲羅幅1cmほどのカニ。砂を口で濾(こ)して有機物を食べるが、不要なものは口の上で団子状に丸めてつまみ捨てる。また巣穴を掘る際も、脚で団子状の砂を掻き出す。コメツキガニのいる干潟は見る見るうちに砂団子でうめつくされる。

チゴガニ

甲羅幅1cmほどの小さなカニ。オスは縄張りを主張したり、メスへのアピールをするためにハサミを上下に激しく振る習性がある。近くに別のオスがいると、その動作はより早くなり、次第に皆が同じタイミングでハサミを振るようになる。その様子は一斉にダンスをしているようにも見える。

アシハラガニ

水辺の葦原(あしはら)の中に住むカニ。甲羅幅は4cmほど。大きなハサミを持ち、葦原から干潟へ出てきては、他のカニを襲ったり、動物でも植物でも何でも食べる。他の干潟のカニ同様、甲羅の表面が水で覆われている。(この理由は映画の中で紹介します)

クロベンケイガニ

河口の葦原や湿った草地の中に暮らす甲羅幅5cmほどのカニ。ベンケイの名が付くように、迫力ある面構えをしており、脚には硬い毛が生えている。アシハラガニ同様、何でも食べ、時には仲間どうしで共食いをすることもある。

アカテガニ

水辺の林や草地、土手の中で暮らす甲羅幅4cmほどのカニ。真っ赤なハサミを持つ。普段は川や海には近づかないが、夏の大潮の夜、卵から孵(かえ)りつつある幼生を放つために一斉に水辺にやってくる。